2014/02/17

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その5」 一人になった退院の日

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その4」 産まれた日 の続き

[一人になった退院の日]


2014-2-13-1.jpg


退院が迫るにつれ、喜びよりも不安が押しよせた。主治医だけなくNICUのスタッフはとても親切だ。天国のようだと思っていた。しかし、退院すれば NICU には二度と戻れない。これまで大勢のスタッフが行っていた世話を、これからは私一人でやっていかなくてはいけない。大丈夫だろうか?いつしか私はほとんど眠れなくなってしまった。

◇  ◇  ◇
NHKクローズアップ現代「幼い命を守れ~小児在宅ケア・地域の挑戦~」より一部引用 
新生児医療が進歩すればするほどNICUのベッドは必要とされすぐに埋まってしまう状況が続いています。妊婦と赤ちゃんの命を守るには、NICUに常に空きを保つ必要があります。そのため症状が改善し、自宅での生活が可能になった赤ちゃんは、退院して家族とくらしていくことを目指すことになります。


しかし、こうした子どもが自宅で医療を受けながら暮らしていく取り組みは地域にまだ十分あるとはいえません。NICUを出る時に感じたアンケート調査によると、「家族が一緒に暮らせる」など良かったことをあげた回答より、「不安だらけで孤独でした。これで退院してよいのか」などの声が二倍以上にのぼっています。

◇  ◇  ◇

2014-2-4-1.jpg


そんな時に、近所の踏切で母親が子供の将来を悲観して、電車に飛び込むというニュースを見た。これはもしかしたら将来の私かもしれないと怖くなった。まだ一歳になったばかりの赤ちゃんには心臓に重い病気があっからだ。


退院の日、その不安は現実となった。主治医からこれからの生活について一通り説明が終わった時だった。ソーシャルワーカーから話があるから待って欲しいと言われた。20分ほどしてやってきたソーシャルワーカーの話を聞いて、これからは私一人で生きていかなくてはならないと覚悟することになった。


2014-2-13-2.jpg


ソーシャルワーカーが渡したのは、パソコンがあれば誰でもアクセスできる、市の育児支援情報だったからだ。「ショートステイ」という文字を見て言葉を失った。これは健康に生まれた子供のための育児情報だ。 超低出生体重児はたとえ実の親であっても気軽に預けられないのだ。だからアンケートにもあるように、母親は退院となると喜びよりも不安に苛まれるのだ。


つい先ほど主治医から「一歳になるまでは感染症を防ぐためにも人ごみを避けて下さい」と言われたばかりだ。この大病院は日本中の子供のためにあるはずだ。それなのに、そこで働くソーシャルワーカーにさえ、超低出生体重児に関する情報は共有されていないのだ。この時の孤独感をどう表現すればいいだろう?私は家に帰って一人泣いた。



雪がちらつく寒い日だった。


続きはこちら↓

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その6」 「あなたを一人にしない」という対照的なアメリカの運動

コメント

非公開コメント