2017/01/25

超低出生体重児 思春期のキャッチアップ

息子は日曜日にはじめて英検を受けた。


中学校に入学して以来、息子の成績は下がり続け、まるで『ドラえもん』ののび太のような状態だった。





1年生の夏休み前、英語の授業で教科書が一人だけ読めなかった。


「僕だけ読めない」と不思議そうにいうので私が特訓して読めるようにしたら、授業中に拍手が起きたそうだ。


それくらい皆と差がついていた。


「君はどうせ覚えられないから、私がカタカナで書いてあげる」と英語の先生が教科書に赤ペンでカナを振ったのは、この頃だった。


私がここまで差がついても息子を助けようとしなかったのは理由があった。


新しい生活に慣れるのが大変で、勉強をする余裕がないことがわかっていたからだ。


中学は小学校の二倍の距離にあり、運動部にも入部した。通うだけで、精神的にも体力的も一杯だと思った。それに息子は、どんなに成績が悪くても「がんばろう」とか「悔しい」と思っているようにはみえない。


無理に特訓をしたら、運動でも勉強でも皆に追いつけるかもしれない。でも、私はやる気の方が大切だと思っていた。自分で這い上がろうという気持ちがなければ、虐待と紙一重。長い目でみて、子どものためにはならないだろう。


私は学校にもあまり期待していなかった。


普通学級では息子には厳しいかもしれないけれど、だからといって特別支援学校や支援級ではもの足りない。


どこを探しても、私よりも熱心に指導する人もいないだろうと思っていた。


だから私は息子には学校に行くのをやめるように何度も言ってきた。今のままでは、学校に行けばいくほど、勉強ができなくなると思ったからだ。


しかしそのたびに、息子は「僕は学校に行きたい。皆と一緒がいい」と言う。


小さく産まれて、何をするにも皆の後をついていくだけだった。


息子には「普通」とか「皆と同じ」が何よりも大切なことのようだ。


仕方がないので、私が勉強を教えはじめた。昨年の1月だった。


●私がいなくなっても、ちゃんとやっていける?


英検のテストが終わり、帰宅してテレビをつけると、映画『STAND BY ME ドラえもん』(スタンド バイ ミー ドラえもん)」を放送していた。


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息子が突然驚くように私に言った。「ドラえもんはお母さんと同じことを言っているよ」


0点ばかりとっていて、がんばろうとしないのび太にドラえもんがこう言ったのだ。


「今、何もやろうとしなければ、いつまでたってもこのままだよ。何も変わらないよ」


確かに私がいつも言っていた言葉だった。


今日のテストは小学生でも合格するレベルだ。けれど私は小さくてもいいから成功体験を経験させたかった。息子のように、基礎学力すらついていない子どもには、最初の結果がみえてくるまでがとても時間がかかるからだ。


長い間、何の達成感もなければ、やる気も失せてしまう。


先生や教育の役割とは、励ますことなのに、今、その余裕がない。


私は勉強は、息子にとったら自立する最初の一歩なんだと思う。


ドラえもんをみても、いつも言うのは「僕にも暗記パンがあればいいのにな」だったのに、大きなやる気を引き出したようだ。


『STAND BY ME ドラえもん』のストーリーと重なって、少し寂しい気持ちになった。


たぶんこれが最後のキャッチアップ。


きっとあと数年で、私から離れていくんだろう。





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