2017/03/01

超低出生体重児の就学・教育問題 『極低出生体重児の 10 歳時における学習習熟レベルに関する研究』を読んで 誰がどこで支援するのか?

●具体的に支援策を示している点が画期的


ネットで公開されていた、極低出生体重児の 10 歳時における学習習熟レベルに関する研究を読んだ。これは日本小児神経学会の機関誌『脳と発達』(2015年)に掲載された論文で、超低出生体重児で産まれた子供たちに対して、どのような教育支援(働きかけ)が有効かを考察している。


冒頭の研究目的で触れられているが、やはり思ってきた通り、10 歳前後に成長した超低出生体重児は「学校へは楽しく通っているが、算数や国語の文章問題が苦手である」という傾向があるようだ。


この研究報告の特徴は、医療機関が教育機関と連携し、どのような教育支援が有効なのかを実践していること。具体的な解決策を示している点で従来の研究報告より一歩前にすすんだ感じ。


それではいつものように、内容を紹介しながら感想を書いてみよう。


●超低出生体重児の9〜10歳時の実態を把握するための、詳細な検討は今までない? 親御さんのブログはたくさんあるのに(涙)


まず驚いたのは研究目的で触れている「超低出生体重児の9〜10歳時の実態を把握するための、詳細な検討は今までない」というようなこと。


やはりそうかと思う一方で、「検討はない」ということには反発する。


確かに『専門家』による研究報告はないかもしれない。


でも何度も書いてきように、親御さんたちが書いたブログが沢山あるのだ。医療者や研究者が読んでいないなんて思えない。それこそ、10年以上前から、論文の冒頭に書かれている超低出生体重児が学習面で抱える困難について、多くのブログが触れていたはずだ。


当事者と研究者の温度差にガッカリする。でもその一方で、これが私のブログへのアクセスが多い理由なのだろうとも思う。


●偏差値のような指標が欲しい


もう一つ疑問に思うのは、定型発達の子ども達との比較だ。要するに普通に産まれた子どもたちとの比較だと思うが、定義が少々曖昧のように感じる。例えば、実験で使う『モデルマウス』のような目安なのだろうか?この場合、偏差値のような比較のほうが、しっくりくるように思う。


●「問題を声に出して読む」「大切な言葉、分かりにくい言葉に、表現に印をつける」具体的な解決策が示されている


次に評価すべき点。はじめに触れたように、この論文の特徴は「文章問題ができない」などの困難を抱える子供たちを支援し、改善させた点だ。


具体的には算数の文章題理解を手助けする方法として、「問題を声に出して読む」などが提案されている。ただし、夫のような教育の専門家なら、ほとんどの人が知っており、すでに実践していることばかりだろう。

◇  ◇  ◇
極低出生体重児の 10 歳時における学習習熟レベルに関する研究 
国語の理解力を育てる支援

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算数の文章題理解を育てる支援
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◇  ◇  ◇

私はこの報告の提案や指摘はその通りで、多くの超低出生体重児に必要な支援だと思う。


ただ実践するとなると、大きな問題が立ちはだかるだろう。


誰がどこでやるのか?という問題だ。


特別支援学校や特別支援学級でも、今は様々な困難を抱える子どもがいるといわれる。そのため、超低出生体重児の教育まで手がまわらないかもしれない。(残念ながらその可能性は高い)


●私が理想だと思う指導者 奇跡の人のサリバン先生、ビリギャルの坪田信貴氏、教育大学の大学院生


じゃあ、親がやればいいかというと、家庭にはそれぞれの事情があり、すべての親ができるわけじゃない。私は、超低出生体重児に必要なのは、サリバン先生がやっていたような指導だと思うから、余計に難しいと思う。




そうすると、民間の塾などの先生、ということになるのかな?


もし私が名前を挙げるなら「ビリギャル」を実際に指導した塾の先生坪田信貴氏。坪田氏の指導法をみていたら、私が普段していることによく似ているからだ。


でも坪田氏のように、結果を出している専門家ほど、お願いするにはお金がかかるだろう。





ちなみに、この研究報告で、実際に子供たちを指導したのは、教育大学の大学院生のようだ。私も教育大学の学生さんは理想的だと思うが(夫も教育大系の大学院を出ているから)、彼らに家庭教師をお願いするにしてもやはり、それなりにお金がかかるだろう。


●教育支援 私がボランティアでは難しいだろうと思う理由


だからといって私ははじめからボランティアに頼るのはあまりオススメしない。大きな理由は『善意』よりも、『確実性』が大切だと思うから。サリバン先生はかなり厳しい指導をしたそうだが、それはマンツーマンだから。ヘレンとサリバン先生は強い信頼関係があるから、厳しさも通用したのだそうだ。逆にいうと、強い信頼関係がなければ逆効果になってしまうそうだ。私は息子のように成功体験がなく、なかなか自信が持てない子どもには、厳しさも必要だと思う。英検に合格した時に、そう思った。


自分でやってみて、善意のボランティアにそこまで求めるのは難しいだろうと思う。結局、誰がどこで支援を行うのか、という段階になると、最後はお金の問題に突き当たるんじゃないのかな。


と、いうことで最後に私の感想。


●実際の支援は亀の歩み 『研究』では限界を感じる


やっと実践的な論文が出てきたかと思う一方、やっぱり『研究』では限界を感じる。超低出生体重児の教育支援の問題を解決するには、今までの方法と専門家だけでは難しいと思うからだ。超低出生体重児はどんどん産まれてくるのに、支援は亀の歩みのように遅い。子供の成長はまっていられないのに。なんとかならないのか?

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