2017/04/04

超低出生体重児の育児 何にどれだけかかるのか お金の話はとても大切

●北海道へ


春休みに北海道にスキーに出かけた。息子のスピードに私はもう追いつけない。


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医療関係者の方が、私のブログを読んだら「超低出生体重児が元気にスキーをやっている!」と思うかもしれない。


●スキーができるようになるには、やっぱりお金がかかる


でも私が今回したいのは、スキーじゃなくてお金の話。スキーが上手くなるには、やっぱりお金がかかる、と思うからだ。


息子には2歳の頃から、学生時代からスキーの指導をしてきた夫が教えた。はじめの頃は抱えたり、背負って斜面を滑った。運動が苦手な息子が自信が持てるようにという親心からなんだろう。


けれど、研究報告に記載される時には親の思いなどは関係なく「スキーが好き」程度の言葉が記されるだけだろう。


私は、(超低出生体重児の予後や、就学などについて書かれた)報告書を読むたびに、大切なことが抜け落ちているような気がしてならなかった。その一つは「お金」じゃないかとずっ〜と思ってきた。


例えば転んでもいいように、まだ普及していない頃からヘルメットを個人輸入してきたし、板や靴ウエアだけでなく、アンダーウエアやグローブに至るまで、2年おきには買い換えている。万が一に備え夫は夏山だけでなくスキー場でもGPSも携帯している。このように装備をきちんと揃え、冬と春、毎シーズン合わせて10日間程度、泊りがけで練習を続けてきた。真面目に計算したことがないけれど、お金がかかっていると思う。


超低出生体重児の退院後の生活は療育先だけでなく、教育支援も不足している。不足を補うために皆試行錯誤し、何かしらの民間のサービスを利用するだろう。


だから本当は、お金の話だって重要だと思う。さらにいえば、子育てなんだから「育てる親の気持ち」も必要じゃないのかな?専門書や報告書にも、「小さく産まれた子どもの子育ては手がかかる」と書いてあるのに、「気持ち」を抜きにして、発達や成長を語るのってなんだか腑に落ちない。


●退院後の生活 何にどれだけかかるのか 教育支援は量より質


支援する人の力がいかに重要かを伝えるために、良い写真がある。これは「世界の果てまでイッテQ登山部」とイモトアヤコさん。2015年の3月、八甲田山ロープウェイ乗り場で撮った写真。「八甲田山に来る人たちの装備はやっぱり違う」と思わず写真を撮ったら、イッテQ登山部だったのだ。彼らの装備は日本で売られていないものも多く、デザインも素敵。後ろ姿だけでもカッコ良かったのだ。


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私はキリマンジャロやモンブランなどの難しい山に次々登頂するイモトアヤコさんが好きだった。しかし登山家の野口健さんは、イモトアヤコさんを批判している。


野口さんがなぜ批判するのか夫が詳しく解説してくれた。イモトさんには才能があるけれど、野口さんの批判もその通りだと言っていた。彼女が登頂に成功したのは、バックアップする周りの登山家の力が大きいそうだ。一流の登山家は、そういうことができてしまうんだそうだ。


私は同じことが、超低出生体重児の支援にもいえるんじゃないかと思っている。支援者は誰でもいい、とにかく機会さえあればというわけじゃなくて、質も大切だと思う。
先日の雪崩事故でわかるように、安全に対する意識が生死を分けることもある。



教育の「質」まで望むなら、やっぱりお金。民間のサービスを利用したい場合、どんなサービスがあるのか。何をしたら、効果があるのか、どれだけかかるのかなどは一番足りない情報だと思う。


●私の住む地域には療育施設が全くありません 将来に希望が持てません


私は、超低出生体重児が虐待されやすいのは、私たちが何に困っているのか社会に見えないからだと思ってきた。そのためブログにはあえてマイナスの情報を掲載してきた。実際にコメントをくださるのも、「私も、すべての家庭に育てられるわけじゃないと思う」という方が多い。


今でも思い出すメールがある。「(ご主人の仕事が)不安定でとても不安です。子どもに障害も残りどうしていいかわかりません。私の住む県には、(その障害のための)療育施設がありません」と書かれていた。


救命は療育などの支援とセットですすめられるべきだと思うが、その地域には療育施設が一つもないという。私はすぐに、夫の知り合いの方が代表をつとめるNPOを紹介した。


ところが返信を読んで「しまった!」と後悔した。彼女はとても遠いところに住んでいるのだ。


もし東京周辺だったら教育大系の学校が幾つもあるのに…。しかもその地域は、失業率が高いことで知られている。私は言葉につまり、彼女が裁判も考えているというので、信頼できる弁護士さんを紹介した。もちろんとても大変だから裁判をすすめたわけじゃない。ただ「なんでこうなったのか」というやるせない気持ちが、とても理解できたのだ。


今頃、どうしているのかな。


最近いつも思い出す。


元気で過ごしているといいけれど。

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Re: タイトルなし

ちょうど、ブログの文字を修正していたところに、コメントをいただきました。

とても良いこと、というか、未熟児の親なら「そうだよね」と思うことがたくさん書いてあるコメントですね。

コメントをいただいてから、どうしようかずっと考えていたのですが、今度成育に行って、ポストに投函するか(かわいい投書箱ができたんです)それとも、昨年、講演会をしていらした先生にお手紙を送ろうと、どうしようか。

成育は、日本全国の子供たちのためにある病院なので、こういうことを一緒に考えてくれるお医者さんがいたらいいですよね。

あと、療育一つとっても、専門家も細分化されていて、得意不得意があるんですよね。だから未熟児に関わったことがなければ、理解するのは難しいと思います。

でも、例えば、今は動画あるわけだし、動画配信でどんな働きかけがいいのか、なんて、できるんじゃないかと思います。私は、発達障害かどうか悩んでいた時に、どこかの大学病院が公開している、障害があるお子さんの映像をみて、「ぜんぜん違う」と思いました。文章で説明されてもよくわからないことでも、映像にするとよく理解できることがあるんですね。

この前、息子はチョコレートケーキの簡単レシピという動画を見つけて、こっそり作ったみたいです。料理なんてしない息子が、作りたくなるような動画が今はたくさんあるみたいですね。

全国に詳しい専門家がいないなら、詳しい専門家が動画で「こういう働きかけをしたらいいですよ」と紹介してくれたらいいと思うのです。そういうことを書いて送ってみようかな?

お住まいの地域は、大都市圏だと思いますが、それでも少ないんですか。だから、私のブログが上位に表示されるのかもしれませんね。

あと、就学以降の問題は、教育問題になりますから、「療育」とはまた別の問題になっていくんです。というものも、医療から教育になり、管轄も厚労省から文科省なので、またややこしいのです。

未熟児外来などのサイトでは、就学前に学校や先生と「話し合えば安心です」なんてありますが、今の学校には余裕がありませんし、教員の力量などもあります。また、文科省の指導は未熟児を想定していませんから、未熟児のためにはならない部分もあると思います。(宿題がたくさん出るなど)

医療者は安心させるために、「学校と話し合えばいい」と言うのかもしれませんが、私はやっぱり「自分たちで乗り越えていくもの」とはじめに言った方がいいと思うんです。

療育の場でいろんな子どもをたくさん見たとしても、未熟児に関わったことが無ければ、低出生体重児への発達支援や理解って難しいような気がします。
文章や知識として理解していても、実際の子どもをみるには経験が必要ですよね。

http://www.small-baby.com/
こういうサイトもありますが、簡易的なことしか書かれていなくて、実際の低出生体重児の育児の参考にはなりません…。

就学猶予や学校や先生と話し合いすれば大丈夫、NICU退院後は訪問看護や発達外来でフォローアップ検診がある、定期的に保健師が訪問にきてくれる、必要があればリハビリや療育を受けて発達を促しましょう
…そういった事がサラリと書かれていますが
実際は、保健師もあまり来ないし、孤独な育児だし、就学猶予なんてほとんど不可能、発達外来も成長や発達の遅れを指摘される、リハビリも普段は老人や脳性麻痺の子どもをみていて、低出生体重児のリハビリ初めて、みたいな人もいる。
良き支援者・教育者に巡り会えるかも重要で、親も子どもを理解して、どう工夫しながら育てていくかも悩むし想像以上に大変です。

だから、情報を求めて、こちらのブログに辿り着く方もいるんでしょうね。

Re: タイトルなし

もりかさん、ありがとうございます。

実は私も、紹介してくださったおサイトをみて思いました。書いちゃっていいのかなと思うのですが、正直な私の感想です。

実際に育てている私からすると、本当に求めている情報ではないんです。

例えるなら…

私は親子丼の作り方が知りたくて、情報を集めているのに(私が知りたいのは玉ねぎの切り方や、何分煮たらいいのかなど)、書いてあるのは「和食とは〜」とか、「卵はとれたての方が新鮮でいいです」だと思います。はじめて読んだ時、それぐらい温度差を感じてしまいました。

私だったら「専門家」サイトよりも「クックパッド」を選ぶでしょう。
そんな感じに思いました。

もりかさんにいろいろと書いていただいて、やっぱり手紙を送ってみようとまとめています。

以前裁判を考えているというお母さんからのメールも読み返し、なんだか泣きそうになりました。

「酷だけどいのちの選択をする権利があってもいいのではないか
私達はたくさんのことを諦めなくてはいけなくなりました
今の医療に疑問を感じています」

と最後に書いてあったからです。

この方が、もし、もう一度メールを送ってくださったら、私はもう少し具体的に弁護士さんをご紹介しようと思っていました。裁判は簡単ではないんです。それこそ、家族がバラバラになり離婚してしまうこともあるんです。

あれから裁判の連絡がないので、ホッとしているのですが、ただ、元気で過ごしているのかどうか…。なんか最近彼女の住む地域を、テレビなどでみるたび、思い出してしまって…

もともと出版のお話をいただいてはいたのですが、本を出しても私の自己満足で終わるような気がしてなりませんでした。ブログって、本を出版すると、「あがり」みたいなところがあるじゃないですか。

正直、嬉しいという気持ちがありますが、ジャーナリストや記者さんにあうこともあるので、やっぱり、プロとブロガーは違うなあ。ブロガーはお気楽だな、と思うのです。

でも今回もりかさんと交流できたのは、「ブログ」だったからなのかな、と思いました。

フェイスブックだとダイレクトすぎるし、医師や教員の知りあいも多いので、匿名ブログにしたんです。お友達関係で盛り上がってしまうと、たまたまの方と知り合えないかもしれません。あと、薬害関係の活動もしていたので、リアルな友達に、ドン引きされるかもしれない、と、いろいろ考え、ブログにしたんです。

ただ、成育に行った時も、声をかけてくださった看護師さんには「ブログを書いているので、今日の様子の写真を使わせていただいていいですか?」と、伝えたりしています。取材した記者さん達にも、自己紹介がわりにアドレスをお伝えしているし、一般的なブログとは少し違うのかな、と思いました。

私の息子は来年で義務教育が終了です。

だから最近は、思い切って書いてしまおうという感じで書いています。

バッシングされるのは少しは慣れたし、それよりも、後に続く方々が、私より楽になるよう、何かが変わるといいなと思います。