2017/05/03

私が国立成育医療研究センターに手紙を送った理由 

●早産・低体重児の発達のムラは『発達障害』なのか?

神奈川県では、退院後の支援として、以下のような取り組みがはじめられるそうだ。


ゼロ歳からはじめる未病対策~早産・低体重児における電子育児応援ナビゲーションシステム (神奈川県未病検診研究事業)


私はこの事業に疑問を感じている。なぜなら発達障害に関する考え方が私とは違うからだ。

◇  ◇  ◇
第39回こどもの健康セミナー:「発達障害を持つ子供のすこやかな成長のために」

自分は外来で、赤ちゃんのときに
入院などを長くしていたお子さん達は
出来ることや出来ないことにムラがある
発達のアンバランスが生じる。

自分は発達アンバランス状況を
いわゆる発達障害なんだと思っている
とお伝えすることが多いです。

子育て、養育、教育の中で
お子さんやご家族が<生活のしづらさ>
や<育てづらさ>を感じるならば
それはいわゆる<発達障害>といえる。

発達のアンバランスさは「特性」
であり、直す直さないものではなく、
どうつきあっていくかということになるけど
修学以降で二次障害といわゆることがおきない
ようにしていけたらということを多くのご家族に
伝えています。

◇  ◇  ◇

私が国立成育医療研究センターに手紙を送ったのは、神奈川県ではじまろうとしているこの取り組みを知っていたからだ。というのも、私が医療系メルマガに手記を発表した時に、転送メールを送ってきたのはこの事業に関わっている医師だった。


超低出生体重児のフォローアップ ある発達小児科医の転送メール 『専門家』の気遣いが、かえって私たちを追い込むこともある


上記のブログを読んでいくと「(この取り組みは)神奈川だけで終わらせたくない」ということが書いてある…。


●私の疑問 早く小さく産まれた子どもを、既存のシステムに合わせようとすることに無理はないのか


超低出生体重児の発達のムラが、いったいいつから、「発達障害」になったのか、という疑問もさることながら、それよりも私はこういう事業が東京でもすすめられたら困る。私は息子に必要なのは医療的支援ではなく社会的支援だと思ってきたし、それを実行してきたから、最近著しい発達をしているんだと思う。


「発達のアンバランスさは「特性」であり」とこの医師はおっしゃっているけれど、本当なの?私は小さく産まれたから、キャッチアップに時間がかかっていると思っているんだけれど!?それに、今の我が国の教育のあり方を問わなくていいの?教員だって良いと思ってないから、議論になるぐらいだ。だから文科省も改革をしているんだよ。まして早く小さく産まれた子どもを、既存のシステムに合わせようとすることが良いことかどうか。それが二次障害の原因かもしれないじゃない!?


●文字だけで、人は判断できない 「発達障害」だと指摘するのは、手記を読んだ面識のない医師だけ 


そもそも息子は面識のある医師から一度も「発達障害」だと言われたことがない。成育の発達検診医も発達の遅れの原因がよくわからないからアドバイスができなかったんだと思っている。


成育の発達検診でいつも遅れを指摘され落ち込む私に、今のかかりつけの子どもクリニックの先生が、「療育が必要ない」と私に言った理由も実はこんな感じだった。


「この歳で死を怖がるなんてすごいよ。この子には死に対する概念がきちんとある。言葉も少なく、おとなしいけれど、大人をよくみて考えているんだろう。精神年齢はかなり高いと思うから僕は紹介状はいらないと思う」


そして参考にして欲しいと、発達検診の問診票を手渡してくれた時もこう言った。「検査の方法も何通りかある。僕の出身大学では、この検査を使うんだよ。でも僕は、どんな検査でも子どもの発達を捉えきれないと思っている。いつも子どもをみている僕やお母さんの感覚の方が正しいんだと思うよ」


それが医師というより、普通の人の感覚だと思う。


●転送メール事件は、問題のある早期介入の典型例 


「お宅お子さんは、発達障害じゃないですか」というのは、私の手記を読んだ一部の医師だけだ。


発達障害かそうじゃないかは子どもの人権にとって、重要な問題のはず。だって、野田正彰医師がおっしゃるように法律には「脳の機能障害」と明記されているわけでしょう?

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超低出生体重児と『発達障害』 私がもっと科学的に解明して欲しいと思う理由 その2

なぜ発達障害のラベル張りが浸透したのか。

少なくない親たちが、「自分のこどもには問題があるのではないか、それはこどもの育て方が原因でないか」と不安を抱いている。他人から指摘される以上に、自分自身を責めている人がいる。そのため、子どもに精神医学的な疾病名がつくと、「病気なのだから仕方がない」と安心し、早期に治療するように言われて少し落ち着いた気持ちにある。

これはトリックに他ならない。日本では発達障害とは脳機能の障害と法律に書かれているのに、発達障害だからと言われて安心するのはおかしくないか。脳機能の障害は、脳の器質的、遺伝的な原因を仮定している。そんな仮説を安易に認めてよいのか。早期の治療をすれば全ての病気がよくなるわけではない。問題の多い早期介入も少なくない。

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神奈川県ではネットを使って支援を考えているようだけれど、私は最善の方法だとはとても思えない。


この転送メール事件は、野田医師のおっしゃる「問題の多い早期介入」の一例だと思っている。


私は転送メールが送られてきた時に、何時間もパソコンの前から動けなくなった。もし、死ぬほど悩んでいる母親だったら、と思うと今でも怖くなる。悪い条件が重なったら、命さえ奪う威力があると思うからだ。


友人の医師はある時私を見かねて、「障害だと言われるような所には、行かなければいいじゃないですか」と言っていた。息子が産まれた日に心配し、「命名ソフト」を送ってくれるような人だから息子の成長を喜んでくれていた。「発達障害」じゃないといつも私に言っていたのだ。


「でも胆管が拡張しているわけだから、フォローしてもらわないといけないでしょう?」


そういうと友人は沈黙してしまった。


●小学生の摂食障害が短期間で回復したのも、構造的には同じ


先日ブログに書いた完治が難しいといわれている、小学生の摂食障害が短期間で回復したのも、構造的には同じだと思う。「医療だけでは治らない」と親が覚悟したからだと思うし、病院以外に理解し支える人がいたことがポイントだ。


『うつを治したければ医者を疑え! 』と小学生の摂食障害 摂食障害を回復させたもの1


●発達検診に行かない自由、拒否する権利も認めて欲しい


心のケアって、医療者と医療機関だけで行うことじゃないとずっと思ってきた。社会に理解し、支える人がいなければ、余計に孤独感が増すと思ってきたからだ。でも、こういう捉え方なら、支援はないほうがいいと思う。もし、こういう取り組みをどんどん進めるというのなら私たちにも検診に行かない自由、拒否する権利を認めるべきだ。

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