2017/06/27

女性の妊娠・出産 やりすぎの啓発活動が生んだ『生殖ハラスメント』という副作用 後編

●「なるべく早く妊娠した方がいい、出産した方がいい」という啓発ばかりをやりすぎ!

(※ 不妊の原因は男性側にもありますが、今回のテーマは「女性の妊娠・出産」なので、女性への啓発活動について書いています)
そんな私でも、メッシーに掲載されている研究者の意見には賛成だ。


私も今までずっと言いたかった一言がある。
「なるべく早く妊娠した方がいい、出産した方がいい」という啓発ばかりをやりすぎ!!




例えば、田中准教授が批判していた我が国のナショナルセンターのトップ、国立成育医療研究センター 副周産期・母性診療センター長の齊藤英和医師。




この齊藤英和医師をグーグルで検索すると結果はこんな感じ。同じような内容の講演活動の記録がヒットする…。みればわかると思うが、一方通行の啓発をやりすぎて逆に反発を招いたんだろう。

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●悪いのは無知な女性達「だけ」なのか? 医療側に問題はないのか

私が日本の周産期医療が不誠実だと思うようになったのもこうした啓発活動にある。女性達に出産を早く、早くと急かすような啓発はする一方で、不適切な不妊治療を行う医療機関は野放しにされたままのように思えてならない。


そもそも20代から治療を始めても、全ての女性が必ず妊娠出産までたどり着けるとは限らない。中には、体がボロボロになってしまった女性だっている。そうなってしまう原因は、医師が警鐘を鳴らすように、女性の「年齢」にもあるけれど、それだけではない。生殖補助医療(体外受精などの不妊治療)の無益な繰り返しや、治療を行う施設の「質の低さ」だってあるだろう。

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『新型出生前診断』の問題点について その15 「あぶない高齢出産」後編 ①

「あぶない高齢出産」後編 「不妊治療大国ニッポン」出生率は先進国最低治療回数はダントツ世界一なのに・・・ 週刊文春 医療ジャーナリスト 伊藤隼也+本誌取材班 2012.11.22

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高齢出産が増加する仲で朗報だと思われた「新型出生前診断」。その隠された危険性について書いた前回の記事は、医療界に大きな衝撃を与えた。今回はその後編。高齢出産が抱える本当のリスクと、じつは “先進国最低レベル”の日本の生殖補助医療の現状をリポートする。
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(略)

周知されていないが “日本は世界一の不妊治療大国″である。日本で不妊治療を実施する施設数は622ヵ所。年間の治療回数である治療周期数は21万1千件を超え、いずれも米国の約1.5倍(次項参照)。ダントツの世界一なのである。

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だが、出生児数に目を移すと米国の約6万に対し、日本は約2万6千。つまり、やたらと不妊治療を行うが、出生数には結びついていないのだ。この背景には、現代産科医療への過剰な期待と、妊娠・出産に対する基礎知識の欠如があると言っていい。

(略)

前述したように日本は〝世界一の不妊治療大国″である一方、その結果である出生率は、〝先進国最低のレベル″なのである。どうしてこのような現象が起きるのか。

不妊治療を行う25の施設からなる「日本生殖補助医療標準化機関(JISART)」の元理事長・高橋克彦氏が解説する。「一番の原因は、生殖補助医療(体外受精などの不妊治療)の無益な繰り返しです。たとえば現在、体外受精を行っている人の4分の1は40歳以上ですが、一般論として、この年代の人は3回目までに着床・妊娠しなければ、統計的に4回目以降はほぼ無益な治療だと言えるのです。しかし、日本では不妊治療が標準化されていないため、希望すれば、何歳の人であっても、何度でも繰り返すことを不思議と思いません。だから、治療周期あたりの出生率が極めて低いのです。

JISARTの調査では、対外受精をした40歳以上の人のうち、採卵あたりの出生率は42歳までは7〜8%。ところが、43歳以上となると、たったの1%なのです。これは治療とは言えません。でも、『1%でも可能性がある』と捉える人もいるのです」

さらに、出生率低下に拍車をかけるのが施設の「質の低さ」である。「生殖補助医療の全登録施設(約600)のうち、半数以上が年間の治療(採卵)実施回数が100回にも満たない施設なのです。この分野は医療技術や機器の進歩が著しい。対外受精や顕微授精などは、培養士やカウンセラーなど、経験豊富な専門家が揃ってはじめて成り立つのです。専門的な治療がきちんとできている施設は、おそらく100もないでしょう」(同前)

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上記は2012年に週間文春に掲載された「あぶない高齢出産」の一部だ。私が取材した医療ジャーナリストの伊藤さんに許可をいただいて全文転載させていただいたのは、私の中に反発する気持ちがあったからだ。


悪いのは、何も「無知」な女性だけじゃないのに…そういう不信感が、徐々に募っていったからだった。



私には結局、医師や医療機関にとって、利益になる、都合がいい部分だけを大々的に啓発しているようにしか思えなかった。そもそも妊娠のピークを、22歳にしたのは、4年制大学の卒業年齢に合わせたんじゃない?知り合いの研究者に教えたら、あまりにも不自然だと皆笑っていたよ。


まあでも、この啓発スタイルもそろそろ終わりなんだろう。ここにきて反発へと転じていくようだ。


やりすぎは啓発じゃなくて、『脅し』だよ。

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