2017/08/02

超低出生体重児と『ペアレント・トレーニング』 『ペアレント・トレーニング』は超低出生体重児にも効果があるのか? 前編

●超低出生体重児の思春期 『ペアレント・トレーニング』の先が必要

発達障害のお子さんへの支援をどうするのか、厚労省も頭を抱えているようだ。

昨日の記事の平岩幹男医師が、実際にどのように子どもに接しているのかを紹介するAERAの記事を見つけた。今、話題の『ペアレント・トレーニング』について書いてある。

◇  ◇  ◇
理解が追いつかない「発達障害」と生きる 医師も親も迷っている 2016/5/16 AERA から一部引用
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早期発見・早期診断は、世界の潮流になりつつある。根本的な治療はないものの、「適切な対応」で、社会生活上の困難は軽減できると考えられている。

埼玉県戸田市にあるなかじまクリニックを訪ねると、5歳10カ月のケンタくん(仮名)は、会話のトレーニングを受けていた。母親と月に1度通う。発達障害の療育経験が豊富な小児科医の平岩幹男さん(65)が新幹線のおもちゃを差し出すと、ケンタくんは、「ありがと」と受け取った。平岩さんの「できたね! タッチ!」の掛け声で、ケンタくんはすかさずパチンッとハイタッチをかわした。

「じゃあ、こんどは新幹線を二つください」
「どうじょ」
「やった! できたね!」

ここで再びハイタッチ。

ケンタくんは1歳半健診で発達の心配があると指摘され、2歳で自閉症スペクトラムと診断された。病院の言語療法や地域のクリニックでの運動・生活指導、自治体主催の親子教室などを渡り歩いてきたが、5歳になるまで一切言葉を発しなかった。母親は当時を振り返る。

「この子とは一生コミュニケーションはできないのかなと、諦めていた時期もありました」

ケンタくんと平岩さんとのやり取りにも、「適切な対応」のノウハウがいくつも詰め込まれている。他にも例えば、「スモールステップ」という考え方を取り入れた対応の仕方がある。少し頑張ればできそうな目標を手前におき、それがクリアできたらまずほめて、また小さな目標を与える。子どもが「できる」経験を積み重ねることで目標を達成しやすくするやり方だ。(中略)

●「普通」より笑顔が大切

厚労省では、子どもの育ちが心配と感じた早期からの親子支援を急ぐ。専門家による「ペアレント・トレーニング」に加え、保育士ら地域にすでにある人材を活用する「ペアレント・プログラム」も支援策の一つと位置づけた。だが「ペアトレ」「ペアプロ」を合わせても、全国での実施は231市町村だけだ。

支援の仕組みがうまく機能していない現状もある。16年度予算で464億円投じる地域拠点の「発達障害者支援センター」の約6割は民間の法人に委託されているが、一部は丸投げ状態だとも聞く。本来は、都道府県や政令市がセンターの活動をバックアップすることが重要だが、そのための中核となるべき「発達障害者支援体制整備検討委員会」がうまく機能していない。そもそも委員会さえ設置していない自治体が6カ所ある。

「支援制度の普及はこれから。今年度からは国として各地に出向き、支援強化の普及活動を展開していきます」(日詰さん)

家庭で「早期療育」に取り組む親も多い。子のために「いまやれること」があるのは、親として希望でもある。だが、自宅で療育を頑張る最中、母親がうつになり、父親が仕事を休んで手伝ったというケースもある。

中学生になった息子がいる自閉症療育アドバイザーのshizuさんは、こう助言する。「私自身、療育に集中しすぎて息子が『普通』になることを目指していた時期もありました。でも、そこを目指すとキツキツになる。大切なのは子どもが笑顔で生活できること、幸せになれること。そして少しずつ取り組むこと。プログラムが全部できなくても、お母さんがゆるんでいるほうが、長い目で子どもにとっていいと思うんです」

◇  ◇  ◇

厚労省は、この『ペアレント・トレーニング』を、超低出生体重児の支援にも取り入れたいと考えているのかもれない。記事を読んでそんな感じがした。


●もし『発達障害』 なら、急激にキャッチアップするのはおかしくないか?

でも、ちょっと待って!と思う。


平岩医師が行なっているようなことは、良いことだと思うし、それこそ夫も同じような働きかけをずっとやってきた。


だからこそ、記事に登場する、日詰正文・厚生労働省発達障害対策専門官のご発言が気になった。

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「普通の育児ではうまくいかず親が困っていたり、本人がみんなと同じようにやっているのにうまくいかず困っていたり。そんな当事者たちの困り事に対する適切な対応の『コツ』が、世界中の学者や支援者が開発したノウハウから日々わかってきています。さまざまなコツが発達障害というキーワードで見つかりますよ、コツを知れば今よりも楽になるかもしれないですよ。そんなメッセージを発信するために発達障害というゆるやかなゾーンが設けられたのです」

メタボリックシンドローム(メタボ)」同様、意識喚起の用語なのだと付け加えた。もっとも、メタボと発達障害とでは大きな違いがある。メタボは内臓脂肪を減らすことにより解消できる。それに対し、発達障害は、脳機能の発達が関係する生まれつきの障害であり、根本的に治るものではない。(以下略)

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そう。もし息子の発達の遅れが「発達障害」なら、急激にキャッチアップしていくのはやっぱりおかしい。さらっと書いてあるけれど、『発達障害』とは「脳機能の発達が関係する生まれつきの障害」で「根本的に治るものではない」のだ。


●私が市の療育センターに通わなかった理由 刺激が少ないと思ったから

そこで私が市の療育センターに通わなかった理由を書いてみようと思う。以前療育センターを見学したことを書いたが、通園しなかった理由を詳しく書かなかった。市の療育施設は開放的で、広く、職員の方も親切でとても良いところだった。ただ、施設で行う遊びをみせていただいたら、息子には刺激が足りないと思ったのだ


小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その14」 母親を追い詰めるもの


私の不安や疑問に丁寧に答えてくださった臨床心理士さんは、おもちゃのお金を入れると、缶ジュースなどが出てくる自動販売機のおもちゃを紹介し「こういうおもちゃがいいですよ」とおっしゃった。


息子は喜んですぐに遊び出したが、私はその姿をみてこう思ってしまった。


「このおもちゃで遊ぶなら、本物の自動販売機でお茶を買わせたほうがいいかな」。喜んでいるけれど、すぐに飽きるだろうと思ったからだ。私だけがそう思った訳でなく、実は臨床心理士さんも私に「ここに来る必要がないですよ」と、遠回しに知らせてくれたようだった。


今から考えると「不安を抱えた親をそのまま返したらいけない」という臨床心理士さんの思いやりだったんじゃないかと思う。


要するに当時の市の療育センターでは、息子の発達では逆に刺激が足りなかったのだ。



私がAERAの記事を読んで少し不安になったのは、厚労省や専門家が、そういうこと(超低出生体重児は、発達障害というくくりでなく、独自で療育を考えなくてはいけないかもしれないということ)を、ちゃんとわかっているのかな、と思ったからだ。


私の目指してきたことは、ここに書いてあることと似ているけれど、少し違う。


AERAで取り上げられている発達障害のお子さんと、息子のように急激にキャチアップする超低出生体重児とは、発達の仕方が違う気がするのだ。


続く

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