2017/08/04

『子どもサマーフェスティバル2017「僕たち、私たちの未来計画」』に参加して その2

●日本では、まだ始まったばかりの『トランジション外来』

今年も特命副院長こころの診療部部長の奥山眞紀子医師の講演からスタートした。奥山氏の次は、外来看護師長渡邊佐恵美氏の『トランジション外来』の紹介についての講演。


北米などの大きな子供病院では、『トランジション外来』は普及しているそうだが、我が国のナショナルセンターである、国立成育医療研究センターが外来を設置したのはつい最近。2015年だそうだ。日本全国の子供病院に必要な活動だと思うので、渡邊看護師長のパワポのスライドを一部、ブログに掲載させていただく。


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●第一段階は、就学支援

成育では臨床研究として試行錯誤しているのだろうか。今までのところ、受診料を徴収せずに外来診療を行っているそうだ。こちらが成育が独自に開発した移行期医療プログラム。


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第一段階は、就学支援から始まるそうだ。

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子供が学ぶ知識などの内容には子供が自ら作成する「マイサマリー」も含まれている。成人医療に橋渡しする時に、子供自身に求められる知識は、これだけ多岐にわたるそうだ。


渡邊看護師長がおっしゃっていたが、家庭ではなかなかできない避妊や性感染症に関することも教えてくれるそうだ。夫も講義で自分の学生には教えているけれど、自分の子供となるとどうだろう…確かに有難い。


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外来カウンターでは、このように検査データ読み方や体の仕組みなどについても、啓発しているそうだ。


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来年以降に、息子に外来受診を勧めてみようかな。


●就学問題は、すべてが個別に掛け合う問題なのか?

一つだけ気になる点があったので書いておこう。講演の後、あるお母さんから就学に関する意見が出た。


「学校の先生は、成績しかみてくれない」ということをおっしゃっていた。その方に対し、渡邊師長は「こちらから医師や看護師が学校に出向いたり、あるいは先生に来ていだき、説明することもあります。不安なことがあったら、遠慮なく相談して欲しい」と答えていらした。


そして外来を受診したある高校生のことを教えてくださった。その高校生は自分で「マイサマリー」を作成し、学校の先生に説明したそうだ。すると高校側も、その生徒の熱意に打たれ配慮をするようになったという。


良いエピソードだと思うが、少し話が噛み合っていないようだ。


●教育を受ける権利は、国民が国に対して要求できる基本的人権の1つ

そもそも『就学問題』は、個別に親や子供が掛け合う問題でもないはずだ。教育を受ける権利は、国民が国に対して要求できる基本的人権の1つだからだ。


教育を受ける権利 - Wikipedia

教育を受ける権利は、国民が国に対して要求できる基本的人権の1つとされ、社会権に属している。 日本においては、日本国憲法第26条第1項に「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。」



そのお母さんが訴えたかったことを、会場で聞いていた教員である夫はよくわかっていた。今の学校は、あまりにもテストなどの結果しか見ていないことをよく知っているのだ。


例えば、大人でも辛いといわれる抗がん剤治療を受けながら勉強を続ける子供たちがいる。そういう子供たちには治療をしながら通学すること自体を、評価してもいいはずだ。それが本来の教育の役割、使命だと思う。


●超低出生体重児の就学問題 そもそも「本来の学力に見合った教育」を受けているのか?

スライドに、「本来の学力に見合った学歴・社会技能の獲得」と書いてあるが、超低出生体重児の就学問題はそれ以前に大いに問題だ。中には、そもそも「適切」な教育を受けられていない子どももいるだろう。だから親は皆悩むし、困っているのだ。


超低出生体重児には、就学猶予という制度があるが、利用するにはハードルが高い。仮に就学猶予が認められても、じゃあ、その一年間、どう過ごすのかなど制度として確立されていない。


さらに、勉強についていけなければ「特別支援学級などにすすめばいい」と言う医療者も多いが、支援学級はキャッチアップする超低出生体重児のために用意された学級ではないし、様々な発達段階のお子さんがいる。例えば我が子のように、足し算などの授業が少しだけついていけないのに、皆で絵本を読むだけの授業になってしまうと困ってしまう。


夫が、医療が個別化なんだから、教育も個別でいいはずなんだと笑っていた。海外のように、一年で無理に上の学年に上がる必要がない制度にしてもいいだろう。個別に柔軟に対応すればいいだけのことかもしれない。なんで医療者からはそういう意見が出てこないんだろう?とても不思議だ。


講演が終わり、再び行動へ案内される。


続く

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