2014/03/07

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その10」 医療崩壊とかかりつけ医

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その9」どうすれば寝てくれるの・・・ 睡眠リズムをつけるためにした努力 の続き


[ 医療崩壊とかかりつけ医 ]



医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か医療崩壊―「立ち去り型サボタージュ」とは何か
(2006/05)
小松 秀樹

商品詳細を見る



とにかく次から次へと病気になった。しかし一歳をすぎても、家の近くにかかりつけ医の先生はいなかった。ドクターショッピングをし探し回ってみたが街の小児科医は超低出生体重児を診た経験がない。「なんでこんなに細いの」「よくわからない」などと言われ落ち込んだ。


新生児科の主治医も一歳の誕生日を最期に、外来に出て来なくなった。外来に行くたびに違う医師が対応する。その頃、具合が悪くなってもかかりつけ医がいないので、産まれた病院の救急に駆け込むしかなかった。ある夜、対応した若い小児科医にあからさまに嫌な顔をされてしまった。


たいしたことがないのだから、激務の小児科医が怒るのも無理もないと思う一方、急変する時は突然やってくる。こちらの事情も察して欲しいという気持ちとで葛藤した。


実は病院に救急搬送された時、昼間救急で診てもらっていたのだ。超低出生体重児の急変は、第三次救急の小児科医であってもわからない。だから夫は「この病院でないと安心できない」と言う。しかし私はそれ以来、救急に行くのが怖くなってしまった。


夫は不安を決してみせないが、救急搬送された時のショックが私よりも大きいのだろう。そんな夫の気持ちもわからなくないが、すでに退院してから二年以上が経過しようとしている。「いつまでも救急に駆け込んでは、深刻な状態の子供を救命できなくなるかもしれない。日々の小さな不安を解消するためには、かかりつけ医が必要」と夫を説得した。


2005年、地元に新しい小児科が開業することを知った。院長先生の経歴を調べると、周産期母子医療センターが併設されている病院の医長の経験もある。風邪ぎみの時に連れていくと親切なやさしい先生だった。


中待合室には、前の病院の子供達から送られたお別れの手紙がたくさん飾ってあった。先生がやめた時に、きっと悲しく思う子供とお母さんがいたはずだと思った。大きな病院には重い障害や病気を抱えた子供が多い。私は小児病棟と新生児科の主治医を思い出した。


ちょうどその頃、「医療崩壊」という言葉が時代のキーワードとなっていた。先生に開業した理由を尋ねたら、やはり「36時間連続勤務は辛かった」とおっしゃっていた。医療崩壊のおかげで私は良い先生に巡り会えた。でもその一方で病院から出ていけない子供達は一体どうなるのだろう。


そう思うと私は胸が一杯になった。


すぐに退院できない子供達と親にとって、いつも見守ってくれている主治医は心の支えだ。重い病気や障害を抱えた子供達のために、これ以上医療崩壊を加速させてはいけないと思う。


だからこそ退院する時には、きめ細やかな情報提供が必要なのではないかと思う。退院後の支援の一環として、医療機関の情報を提供していただけないだろうか。万が一のことを考えれば、母親の口コミにだけに頼るわけにはいかない。必要なのは、その人が必要としている、科学的に正しく的確な情報ではないだろうか。


続きはこちら↓

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その11」 子どもの生きる力を引き出すのは医療なの?教育なの?


コメント

非公開コメント