2014/03/11

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その11」 子どもの生きる力を引き出すのは医療なの?教育なの?

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その10」 医療崩壊とかかりつけ医 の続き


二歳を過ぎるまで、いつも違う小児科医が外来で発達を診てくれたが、ある時「私に診させて欲しい」という医師が現れた。発達検診医だった。


保育と幼児期の運動あそび保育と幼児期の運動あそび
(2008/11/11)
吉田 伊津美、鈴木 康弘 他

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商品の説明
内容(「BOOK」データベースより)

幼児期は生涯にわたる健康の基礎をつくる時期であり、子どもの発達に適した運動経験を十分に積んでいく必要がある。しかしそれは特定の運動を行うということではない。日常の生活や遊びのなかで、子ども自身が運動を楽しいと感じ経験していくことが必要で、その経験の積み重ねが、健康な心身を育てることになる。本書は、保育者になる人、現在保育職にある人が、運動を実践するとき理解していなければならないことを、理論と実践で示している。

◇  ◇  ◇ 

退院後の生活に慣れてくると、今度は、息子の発達が気になってくる。子供を小さく生んでしまったという責任と将来への不安で押しつぶされそうだった。私は、発達検診を受けていれば不安は解消できるものと考え、その医師の言葉に喜んだ。


しかし、発達検診は私を不安にさせるだけだった。主治医は、「三ヶ月程度遅れている」と常に遅れを指摘するだけだったからだ。

◇  ◇  ◇ 
AERA 2007年11月26日増大号
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1歳半検診がこわい母親
「言葉遅い、他の子よりぐずりがち、
指さしできないわが子」に「もしかして・・・」
05に整備されたが、自治体まかせの検診
「早期発見」されても療育体制はなく、不安にさらされるだけ
密室育児を追い詰めるネガティブな情報

◇  ◇  ◇ 

ある時私は自分は何かに似ていると思った。「ああ、あの、怪談・番町皿屋敷のお菊さんだ・・・」いくら数え直してもお皿がいつも一枚足りないからだ。発達検診とはお菊さんに「一枚足りないじゃないか」と指摘するようなものだとしか思えなかった。


そもそも「正常」とは何なのだろうか。
 

息子は4ヶ月も前に母体から出て、おまけに800グラムで生まれたのだから、発達が遅くて当たり前なではないのか。それを三ヶ月に一度指摘したところで、何が変わるというのだろう? しかも、遅れをどのように取り戻したらいいのか具体的な訓練の方法を聞くと、毎回、「おはじきやボタンをフィルムケースに入れ、つまんで外に出すといいです」と言うだけなのだ。


療育に行けないのか尋ねたところ、「公的支援を受けられるほどの遅れはない」と言われた。息子は、グレーゾーンよりももっと上のグレーゾーンに該当するので、「おはじき」以外に選択肢はないそうだ。


しかし夫はその方針に反対した。夫は運動生理学や免疫に関する研究をしてきた研究者だ。同時に長年教育現場で学生を指導してきた教育者でもある。息子には遊びを通して療育になるような刺激をいつも与えていた。もちろん箸の持ち方をはじめ基本的な訓練は常にしていた。「子どもの発達は、長い目で考えなくてはならない。今の時期には、細かい指先のトレーニングよりも、体の成長を促すべき」と私に言った。


確かに夫の言う通りだと思った。なぜなら息子は公園に行くと、自分よりも体が大きい子どもや活発な子どもがいるだけで怯えて遊ぼうとしないからだ。「男の子は仲間で遊ぶものだ」と夫が言っていた。毎日おはじきの訓練をしても、子ども達の輪の中に入れるとはとても思えなかった。何よりも家で二人きりで訓練をすると息がつまりそうだ。


私自身、体を動かす遊びをしなかったせいで、身長が伸びなかったことを後悔している。家族も親戚もそれほど体格が良い方ではないので、これは仕方がないことなのかと思っていた。


しかし結婚後、夫に「それは違うぞ」と言われた。もし、第二次性徴や伸び盛りの時に、もっと運動刺激を与えれば、今よりも身長が伸びたのだそうだ。確かに小学校受験をしたこともあり、三歳からクラシックピアノと絵を習っていた。おまけに趣味は読書だった。ああ、そうか。遺伝じゃなくて父と母の知識のなさが原因だったんだ・・・。


その時、「でも何もしないよりはずっといい。今からでも遅くないぞ」と夫に教えてもらった。私はそれ以来、スポーツクラブに通ったり、登山に行ったり、とにかく体を動かすようにした。夫が健康に関することを学生に教えているのに、私が健康でなければ説得力がなくなるというのが一番の理由だが、何でも試してみようと思ったのだ。「今からでも遅くない」という言葉が何よりの励みになった。

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クローズアップ現代 「幼い命を守れ~小児在宅ケア・地域の挑戦~」2013年5月28日(火) 放送より一部引用

埼玉県にすむMさんもそうした想いを抱いた一人です。娘のNちゃん三歳は生まれつき呼吸機能に障害があります。Mさんは片時も目を離さず世話をしています。退院してまもなく二年、現在は週に五日看護師の訪問を受けていますが、気が休まることはありません。親子そろって家に籠もりがちになる暮らしの中で、医療的な問題に加え、最近では子どもの成長に対する不安が募るようになったといいます。


「退院すればいいと思ってきたんですが、いざ家に帰ってくると違うんですよね。やっぱり。成長していく段階で子ども同士の遊びって必要だと思うので。それが全くないとなるとどうなるのかなっていう。将来社会に出ていけるのかなっていう・・・」


こうした不安を抱える親子をいかに支えるか。注目されている取り組みが四国松山にあります。午前10時、障害がある子ども達がつぎつぎ集まってきます。


重い病の子どもを専門に預かる施設。「ほのかのおひさま」訪問看護師のグループが運営しています。訪問している中で耳にした「預かり施設が欲しい」という親の声を受けて設立されました。

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こちらに続く↓

小さく生まれた子供を社会でどう支えるか「その12」  どうして当事者の声は届かなかったの?




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