2017/10/02

「IQ28障がい児の母が語る『小児病棟はシングルマザーだらけ』」というヤフーニュースで、コメント欄が大荒れ

●小児病棟には、シングルマザーが多い?

私と同じように、超低出生体重児のお母さんがネットニュースに取り上げられていた。

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IQ28障がい児の母が語る「小児病棟はシングルマザーだらけ」 現代ビジネス 9/29(金) 15:00配信  Yahoo! JAPAN
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記事の内容に関しては(人それぞれだと思うので)触れないけれど、小児病棟は「シングルマザーだらけ」なんだろうか?少なくとも私はそうは思わない。例えば、息子が生まれた時に、隣の保育器にいたお子さんのお母さんは外国籍で、高学歴の専門職だった。「時代は変わったな。これからの日本の小児医療は劇的に変化する。受け入れる側も大変だな」と思ったことを今でも鮮明に覚えている。


それに今、あるこども病院でボランティアをしているけれど、ご両親が揃ってお子さんを迎えに来ることも多いけれど…。


●超低出生体重児も、母親も、皆一人一人違う

それよりも、私がこの記事で困ってしまうのは、「IQ28障がい児」というタイトルだ。


これではほとんどの超低出生体重児が、IQが低いと誤解されるかもしれない。


私がブログで息子の成長について書くのは、色々なことを「小さく生まれたから」と、諦めないで欲しいからだ。今は息子が生まれた時よりも、医療が良くなっているだろう。そういうことを伝えるためでもあるのに、記事を読んで、「なんだかなぁ」と思っていたら、やっぱりコメント欄は荒れていた。


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超低出生体重児も母親も皆それぞれ違う。


働きたい人もいれば、子供の発達のためにできる限りのことをしたい人がいる。


人は皆一人一人違うから、考え方も、求めているものだって違う。こうした誤解を解消するためにも、まずはきちんとした大規模な疫学調査をして欲しい。
2017/09/17

超低出生体重児の長期予後 フォローアップ外来の限界 

●超低出生体重児の長期予後 研究報告への疑問 『発達障害』と『発達遅延』は違うのでは? 専門家はどうやって見分けているのか?

A先生から連絡があり、新生児科医B先生に私の意見を伝えて下さったそうだ。


私の意見を簡単にまとめるとこんな感じだ。


●現在、超低出生体重児の長期予後についての専門家(主に周産期医療に関わる方々)の考えでは、発達のムラを『発達障害』と捉えているようだけれど、全てが 『発達障害』ではないのでは?あるところから枝分かれし、思春期を過ぎてから限りなく正常発達に近づく子供もいるのでは?


●私が長期予後の論文や報告書などを読んで不思議に思うのは、専門家に「発達が遅れがちな子供達がどんどん増えるのに、受け皿がない」という危機感がある一方で結論を急ぎ過ぎて、かえって当事者を混乱させているように思うから。(例えば、「超低出生体重児には『発達障害』が多い」というが、その根拠がよくわからない。障害の「ある」「なし」をどうやって見分けているのか、など)


●なんでこういうことが起きてしまうかというと、専門家と呼ばれる方々が、「こういうものを出しておけばいいか」といい加減に考えているのではなく、とにかく「忙しいから」。


●ただ患者家族の立場からすると、救命にだけ力を注ぐのはおかしいのではないかと思ってきた。私たちは生きていかないといけないし、子供にとったら、退院後の人生の方がはるかに長いからだ。



●新生児科医が行うフォローアップ外来とは 患者家族は自分達で勉強し、考えていかないといけない

A先生が私の意見を、ご自身の言葉で伝えてくださると、B先生はこのようにおっしゃったそうだ。


「私たちは(新生児科医)はフォローアップの外来をしてはいても、神経発達などを専門的に診療する技量は持っていない。といって、NICU等の現場では、それよりも優先される救命救急処置で精一杯で、誰もそこに割ける時間がないのが現状です」


私が思ってきたことは、ある程度正しかったようだ。


それにB先生は、『発達障害』と『発達遅延』は違うと考えおられるようで私はホッとした。


同じ新生児科医でも、私に転送メールを送ってきた新生児科の医師とはやはり違う。あの先生は 『発達障害』と『発達遅延』との違いがわかっているのだろうか?


●学会が異なれば、専門家が共有する常識が全く違うことも


息子の発達に関しては研究者も関心を持っていて、あと5年ほどしたら論文にまとてめてくれると言っている。


その研究者は私によく言っている。


「運動発達の俊敏性などは、思春期以降でも伸びていく。もしも、もっと幼い頃までにしか発達しないと考えているのなら、間違いだ。超低出生体重児のような発達の遅い子供たちは、むしろ思春期でキャッチアップすることを考え、小さい頃から教育を考えていかないといけないんじゃないのか」


ちなみに思春期以降で俊敏性などを伸ばせる、というエビデンスは、(データベースを探せば)論文がヒットするそうだ。


学会や研究会が違えば、共有される常識も違ってくるのだろう。本当はメールが送られてきた時に、言い返そうとしたけれどやめた。自分でエビデンスを出し、専門家に論文などの形にしてもらって反論しようと思ったからだ。


ただ、形になるまでには時間がかかる。


私には一抹の不安がある。もしもこのまま学会などが、わかっていることと、わからないことなど、正確な情報を出さないでいると、発達障害ビジネスなどに騙される親御さんが出るくるかもしれない。あるいは親御さんが追い込まれて、こちらの「教育虐待」のような悲劇も起きるんじゃないかと思う。

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「教育虐待」親に強制された習い事で優勝したけど、思い出したくもない…その背景は? 弁護士ドットコム 2017年09月10日 07時49分
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親が子どもに習い事をさせることは、今も昔も行われています。しかし、その習い事が子どものやりたいことではなく親の自己満足だった場合、子どもは苦しむことにもなりかねません。

20代の大学生・Hさんは子どものころ、父親からレーシングカートの訓練をさせられました。日々の訓練は厳しく、頭を叩かれたこともあるそうです。「グランプリで優勝したこともありますが、やりたくないことだったので不満が鬱積し、成人した今でも嫌な思い出として残っている」といいます。

スポーツ選手が自分の子どもにも同じ競技をさせ、子どもも結果を出した場合、テレビなどではしばしば「親子鷹」として取り上げられます。ただし、Hさんのように、何も本人に残らなかったケースもあります。こういったケースは「教育虐待」とはいえないのでしょうか。吉田 美希弁護士に聞きました。(以下略)

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こうした悲劇が起きないよう、思春期以降にキャッチアップする『発達遅延』の症例を紹介することは意義があるだろう。
2017/09/13

超低出生体重児の教育問題 報道特集『医療的ケア児と教育』をみて その後

●メディア戦略への疑問

最近、ブログに綴ってきた病気の啓発活動や、メディア戦略について反響が増えている。


ある小児がんの専門医の先生がもうすぐ講演をするそうだ。私の意見を参考にしたいとおっしゃって下さった。


また、最近ある方にメールをいただいた。


ブログの副題アレルギー死亡事故から始まり、よなよなエールというビールのマーケティング、さらには子宮頸がんワクチンのロビー活動未熟児の教育問題についても考えてくださって感想を寄せてくださったのだ。有難い。親戚に教員をしている方がいらして、アレルギー死亡事故のその後が気になったそうだ。検索をしたら私のブログがヒットしたらしい。





「何かがおかしい」と立ち止まって下さる方が増えるのは良いことだと思う。


●人それぞれ違うのに


先週放送された報道特集『医療的ケア児と教育』について、もう少し私の意見を書いておこう。


こちらで動画が配信されています


まずいつものことだけれど、私が困ってしまうのが(NICUというと)野田聖子議員が紹介されることだ。


私もNICUにお世話になったけれど、私は野田議員のように不妊治療をしていない。高齢出産でもない。NICUにお世話になる母親には、いろいろな原因がある。人それぞれ皆理由が違うのだ。


さらに特集では、障害を抱えたお子さんが数名紹介された。


その中のお一人は、私と仲の良いお母さんのお子さんと同じような障害を抱えていた。そのお子さんは、医療的ケアを必要しているけれど普通学級に通っている。


一方私の知り合いのお子さんは、医療的ケアを必要としていないが特別支援学校に通っている。


特別支援学級を知らない人はこれでは勘違いするかもしれないと不安になった。彼女なら特別支援学校の方がいいと言うだろうと思うからだ。彼女は私に会うたびに「良くしてもらっているの」と嬉しそうに話してくれる。例えば、「先生がうちの子をいつも学校の外にお散歩に連れて行ってくれるの!だから私が知らない間に可愛がってくれている人が増えたんだよ」なんて教えてくれた。


私はブログで未熟児の育児支援や教育問題について不満も書いているけれど、この街の特別支援学校は良い支援をしてくれているそうだ。最近あった時にはプールに入ったととても喜んでいた。


だから私は報道特集をみながら、違和感を覚えた。「困っている」と言っても、私たちが求めているものはそれぞれ違う。今の時代、支援は個別に考えなくてはいけないだろう。本当に必要なのはそういう議論なのに…。


●超低出生体重児にも、がん登録のような制度があれば

がん医療には、がん登録という制度がある。


NICUを退院した子供にも同様の制度があればいいとずっと考えてきた。


どこにどんな状態のお子さんがいて、どんな困難を抱え、どんな支援を必要としているのか把握できるからだ。議論をするなら、まずは叩き台になる、正確なデータを出さないと。私にメールが届く「本気で心中を考えている」、本当に困っている人はどうしたらいいのだろう?


●超低出生体重児の教育問題 教育の『質』について議論して欲しい

それに野田議員が先頭に立つと、困るのは「母親の働き方」の議論にすり替わることだ。


発達の遅れている子供の支援はただでさえ少なく、選べない。あってもとても高額だ。先日見学に行った高校は、都会の私立大学並みに学費が高い。教育はお金がかかるのだ。本当は教育の質だって考えないといけないはずなのに、そこは素通りされていく。今のままでは、経済的に苦しい家庭のお子さんは不利になるだろう。私は超低出生体重児の中でも週数が少なく、体重も少なく、なおかつ地方に住んでいるお子さんが心配だ。療育先や学校などの選択肢が限られるからだ。


そして受け入れる教育現場に余裕があるとは思えない。


文科省が通達を出したら、とりあえず現場は従うしかないけれど、給食アレルギー事故のような問題が起きるかもしれない。


●文科省の通達に現場は冷めている

最近こんな話を聞いたばかりだ。


文科省がある障害を抱えた学生のために、入試で合理的配慮をするよう通達を出したそうだ。


そのためどこの学校でも、試験の時間を延長したという。


でもある先生が私に不満を漏らしていた。


「文科省の通達だから時間を延長したけれど、現場は冷めているよ。だって考えてみてよ!?入試で配慮しても授業はどうするの?その学生のためだけに延長はできないんだよ」


ちなみに、その制度を利用し試験をパスした学生は今まで一人もいないそうだ。

2017/09/09

超低出生体重児の教育問題 報道特集『医療的ケア児と教育』をみて

今日は高校見学に行ってきた。


知り合いのお嬢さんに紹介していただいた高校だった。想像よりも、ずっと良い学校だった。


最近はどこの学校も説明会の後に、個別相談をしてくれる。


正直にあまり成績が良くないことや、それでも最近頑張っていることを伝えたら、先生がニコニコ笑って「この学校は、人物重視ですから」とおっしゃった。どうやら息子を気に入ってくださったようだ。


就学レベルに合わせて授業をしてくれるし、留学もできる。よかったここなら、私よりもずっと良い指導をしてもらえるかもしれない。


家に帰って録画した『報道特集』をみた。今日は『医療的ケア児と教育』という特集があったからだ。


相変わらず、堂々めぐりの内容でため息が出る。


息子の学校では新学期が始まっても、ある教科の授業は行われていない。担当の先生が「心の病」になったそうだ。


学校の先生の労働環境を改善しないことには、『医療的ケア児と教育』の解決なんて無理だと思う。


小学校では障害のあるお子さんとの交流授業が行われていたが、中学になると、全くない。


それは多分、受験と無関係ではないだろう。



やっぱり私は今の文科省の考え方、特に公立校のあり方が気になる。子供を幸せにしているとは思えないからだ。特に、今日の学校を見学したからそう思うのだろう。


今日、見学した学校で、私たちを案内してくれたのは、去年不登校気味だった、という一年生の女の子だった。


この学校に通うようになって立ち直ったそうだ。今日は大勢の人達の前で、堂々と自分の意見を言っていた。


今の公立校では、こういう学生を振り落とすしかないんだろう。


今年も、休み明けに中学生の自殺が話題になった。


せっかく生まれて来たのに、死なせてしまうなんて、と悲しく思う。


あれもこれも足りない今の学校現場に、『医療的ケア児』を受け入れる余裕があるとはとても思えない。


Yahoo!!の『医療的ケア児』のリアルタイム検索をすると、感情の割合は『反対』が圧倒的に多い。「財源とか考えず何でも公共に押し付けるのはちょっと」とか「人権問題へとすり代えていくのは問題だ」という意見に混じり、やはり「医療の発展が新たな問題を生んでる」という意見が。

https://search.yahoo.co.jp/realtime/search?p=医療的ケア児&search.x=1&tid=top_ga1_sa&ei=UTF-8&aq=0&oq=医療的&at=s&ai=p.euZ3L.Tf.TMpVdA4iJOA&ts=3884&fr=top_ga1_sa

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こういう報道や周産期医療のあり方に対して疑問を持つのは私だけではないようだ。


多くの人たちに知ってもらうことが報道の目的かもしれないが、かえって差別や偏見が増えていきそう。

関連するページです↓
『女性保育士を薄給でこき使うな』 駒崎弘樹氏と認定NPO法人フローレンスが訴えられている? 
2017/09/08

病気啓発への疑問 それは本当に『患者』のための活動なのか?

●もし、北朝鮮弾道ミサイルが東京上空を通過したら

先日学校から配られた手紙を見て、ドキッとした。


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北朝鮮の弾道ミサイルが東京上空を通過した時の緊急避難について書かれたものだからだ。なんだか嫌な予感。


●患者のためとは、どういうことなのか

月曜日、あの小児がんの専門医、A先生から連絡をいただいた。「(私がB先生に)直接お話しさせていただくので、何か思うことがあったら資料でもメールでもどんどん送って下さい!」


A先生がそこまでおっしゃってくださるとは思っていなかった。


A先生は秋に講演会があり、がん治療についてお話しするという。そのため、私がブログに書いてきた「がんの啓発活動」への違和感について関心があるそうだ。(「患者」のためではなく、医師や製薬企業などにとって都合の良い活動じゃないか、ということ)


そこで私は今まで作った資料などをお渡しし、メールを何度もやり取りさせていただいた。


●病気などの啓発活動への疑問 患者と家族は一人一人違うはずなのに

私は周産期医療の啓発のあり方には、ずっと疑問を持ってきた。


ネットニュースによると数年前にヒットした周産期医療をテーマにした、ドラマが再び放送されるという。


正直「またか」と思ってしまった。私は今はこういうドラマは、心が受け付けない。いつの間にか関心がなくなってしまった。


振り返れば、若年性乳がんをテーマにした「余命1ヶ月の花嫁」の時にも感じた。ドラマは「病気」の認知度を一気に押し上げてくれる反面、副作用もある。患者の抱える悩みや不安が、形を変えられ、社会に伝わっていくような感じがするのだ。





だいたい「余命」とタイトルにつけるなんて、どうかと思う。


医療者の労働環境改善など、医療現場で働く方にとってはいいかもしれないけれど、子供は救命されてもその先の人生の方がずっと長い。生きていかないといけないのに、と最近は冷めた目でみるようになってしまった。


●患者さんは本当に「撲滅」を望んでいるのか

そもそも病気の啓発には、(私のような市民からすると)疑問がいくつもある。


例えば「子宮頸がん」の啓発活動では、「撲滅」や「制圧」という言葉がスローガンとして掲げられる。しかし患者さんの中には、どうしても治らない方がいる。今の時代は研究が進み、がんとともに生きることが可能だ。だから私は「撲滅」や「制圧」よりも「共存」という言葉がいいんじゃないかとずっと考えてきた。


確か「余命1ヶ月の花嫁」のヒットは、いつの間にか有効性を示す科学的根拠がないはずのマンモグラフィーなどの検査キャンペーンにすり替わってしまった。だから私は「撲滅」「制圧」は患者さんではなく、製薬企業や医療者のために必要な言葉のような気がしてならない。


TBS「余命1ヶ月の花嫁・乳がん検診キャラバン」の 内容見直しを求める要望書提出について


同じようなことを、秋から始まるドラマに感じるのだ。


●超低出生体重児の長期予後にも久山町研究のような調査を

私はもうほとんど諦めている。もう少しで小児医療から卒業するし「もういいや」と思う。でも、後に続く人たちが同じような苦労をしなくて済むように、もっと科学的な議論を進めて欲しい。超低出生体重児の長期予後の論文や報告書などには、素人の私がみても、明らかに間違いだとわかることが書いてあるからだ。超低出生体重児には発達障害が多いというけれど、中には、製薬企業が作った資料で、治療薬の勉強会を開いている専門家がいてびっくりする。


A先生は小さな子供たちに、抗がん剤を投与しなくてはならない専門医だ。抗がん剤を使いこなすためには、高度な専門知識が必要だ。そのため、私がこうしたことを伝えると、何が言いたいのかすぐにわかってくださった。


(※ A先生のメールの文章を少し変えて、掲載しました)
薬には、絶対に必要な薬剤と、患者さんのニーズによっては必要な薬剤と、まったく必要でない(悪ですらある)薬剤の3種類があるように思います。多くの抗がん剤ですら、この二番目のカテゴリーに入ってしまうからこそ、「抗がん剤はインチキ」というようなバッシングが起こるのだと思います。



夫は運動生理学者なので、日本では、久山町研究(世界で最も精度が高いとされる疫学調査)という素晴らしい調査が行われていることを知っている。


私は超低出生体重児にこそ、こういう精度が高い疫学調査が必要だと思ってきた。


「頑張れば報われる」とか、「信じる気持ちが大切」などという感情が先行する啓発は、結局は根性論とあまり変わらない。戦争の足音が聞こえ始めた今だから、もっと科学的な議論をして欲しいと切実に思う。